心臓リハビリテーションについて

目的

心臓リハビリテーション(心リハ)とは心臓血管病の患者様やご家族様に対して、医師を含めた多くの職種の協働による長期的で包括的なプログラムです。
このプログラムには運動療法や薬物療法や食事療法や患者教育を用いることで下記のような改善が期待できます。

1. 疾患にともなう身体的、
  精神的影響の是正と早期社会復帰
2. 心血管疾患の危険因子の是正と再発予防
3. 生活の質の向上

対象疾患

  • 虚血性心疾患(狭心症、急性心筋梗塞症)
  • 心臓弁膜症
  • 心不全(次のA、B、Cのうち、少なくとも一つを満たす場合)
    A. 左室駆出率(LVEF:左心室の収縮力)が40%以下(正常は60%以上)
    B. 血中BNP濃度(B型ナトリウム利尿ペプチド:心臓の負担が反映される血液検査データ)が80pg/ml以上
       またはNT-proBNP400pg/ml以上(正常は125pg/ml以下)
    C. 最高酸素摂取量(CPXでえられる運動耐容能の指標)が同性同年齢の基準値に比べて80%以下
  • 大血管疾患(動脈瘤)大動脈瘤・大動脈解離など
  • 大血管疾患(解離性大動脈瘤)大動脈瘤・大動脈解離など
  • 下肢末梢動脈疾患しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じる状態(間欠性跛行)

(注)CPXは心肺運動負荷試験の略

心臓リハビリの流れ

心臓リハビリの流れを示しますが、基幹病院で手術や急性期治療の終了後の第1期(急性期リハ)、退院 や社会復帰に向けた第2期(回復期リハ)そして生涯にわたる第3期(維持期リハ)に分かれます。 当院では回復期と維持期のリハビリを担当することになります。

治療内容

①食事療法
心不全の食事療法を中心として、それ以外の基礎疾患も含めた食事指導を行います。 塩分制限や糖質制限やたんぱく質制限など、個人の状態に合わせた食事療法の説明・指導を行います。また、低栄養によるサルコペニア予防にも努めます。

②運動療法
体力の向上、息苦しさ・倦怠感などの心不全症状や狭心症発作の軽減が期待できます。 さらに、高血圧症・脂質異常症・糖尿病など心臓に悪影響がある危険因子に対しても改善効果が期待されます。

③薬物療法
病態や病状に応じて、必要な薬の投与・調整を行います。また、患者様やご家族に対して薬の効果等を説明し、飲み忘れがないように指導しています。

④患者教育
生活習慣の改善やより効果的な心臓リハビリテーション実施を行うために、当院では、患者様自身もしくはそのご家族の方に対して、週1回の健康講座や自宅で行える自主運動の指導などを行っています。